さぽろぐ

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2009年03月29日

こぶし


谷奥の流れの岸
真白なこぶしの花の下で
私は駒鳥の声を聞いた
香りに咽(む)せて
人を思った
「あの日……」

十日程して
花は散った
ちょっぴりのぞいた青空に
その日も雲が流れている

「やはり負けた」と思う
「やはり負けぬぞ」と思う
そんな心で生きているのは
辛い

お母さん
北の山の沢辺に
今年も純白なこぶしが咲きます
その根元を水が流れて行きます

そこが
僕の墓場になるでしょう

考えるということは
いけないことでしょうか……
安易に突破できないものが……

お母さん
愛するということは
真実困難なことですね

必死になってみましたが
全ては愛しきれません

たった一つの心を知り
たった一つの愛を知ったものは
何も知ることができません

行かねばならぬ唯一の
永遠の方向を除いては……

北の山の沢辺に
私はこぶしの散る音を聞いた
私の白骨の鳴る音を聞いた

ちょっぴりのぞいた青空に
たしかに雲が流れている


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Posted by 松田まゆみ at 12:54│Comments(0)
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