山の挽歌-松田白作品集- › 詩 › 夕焼けの湖(うみ)
2009年10月03日
夕焼けの湖(うみ)
ミミ
夕焼けの湖(うみ)に漕ぎ出そう
緑の山が 水に溶け
波がピタピタと舷(ふなばた)を打つ
ミミ
夕焼けの湖に漕ぎ出そう
青い水が
黄金に映え
オールが五彩の
飛沫(しぶき)を上げる
あの短い時間のために
青白い雲 赤い雲
桃色の雲 紫の雲が
いろいろな動物に
形を変える
ひとときさえ 止まっていない時間
ミミ
君の頬が 腕が
バラ色に染まり
ピンクのミミが できあがる
あの短い時間が
君も僕も好きなんだ
ミミ
淋しいくせに
君と僕とは よく笑い
冗談ばかり言い合うね
ミミ 幾日もの内で
たった一日の五分間だけど
こんなに真赤に燃えるのが
君も僕も好きなんだ
ミミ
夕焼けの湖に漕ぎ出そう
(この湖とは、長野県諏訪市の蓼の海(たてのうみ)のことと思われる)
Posted by 松田まゆみ at 14:24│Comments(0)
│詩